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化石壁産出新種化石について_06

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部署名: 文化財保護課電話番号: 076-274-9579FAX番号: 076-274-1665E-mail: bunkazai@city.hakusan.lg.jp
 
」」」桑島化石壁産出の恐竜化石に学名がつきました」」」
2009年9月発行の米国古脊椎動物学会誌の「Journal of Vertebrate Paleontology」に論文が掲載され、Albalophosaurus yamaguchiorum (アルバロフォサウルス・ヤマグチオロウム)の学名がつきました。
 


 
【上顎骨、歯骨等の頭部を構成する11点の骨と、歯】
(学名を担うホロタイプ標本)
写真の横の長さ:約20cm

* 向かって左が頭の前側、頭の左側の骨が見えている


 
学名:Albalophosaurus yamaguchiorum 
名前の構成:新属名(Albalophosaurus属)+新種名(yamaguchiorum)
意味「白山の竜」

 
 
新属名( Albalophosaurus 属)
 
「Albus」(アルバス)は「白」、「lopho」(ロフォ)は「稜がある状態」、
「saurus」(サウルス)は「トカゲ」
「Albalopho」で白山という意味を持ち、さらに、歯に大きな陵があるという、この恐竜
最大の特徴も意味している。
 
 
新種名( yamaguchiorum
 
「yamaguchi」(ヤマグチ)は長年、「桑島化石壁」から産出する脊椎動物化石の発見
や保護に従事されてきた山口一男さん、山口ミキ子さんへ敬意を表しての献名、
「orum」(オロウム)は「男性を含んだ複数の人名への接尾詞」



<発見からの経緯>

 今回新種として確認されたアルバロフォサウルスの化石は、平成10(1998)6月に白山市 (旧白峰村)の桑島化石壁(中生代白亜紀前期、約13000万年前)から、頭部を構成するいくつかの骨が見つかりました。
 アルバロフォサウルスの標本は発見当時、顎や歯の一部がラグビーボール大の岩石中に露出しており、クリーニングを行ったところ、頭骨の内側面が露出しました。その時点の観察から鳥盤類の恐竜である可能性が示唆されましたが、通常、化石の比較観察は骨の外側面で行われるため、岩石を反対側から削り、標本の外側面を露出させる必要がありました。そこで、標本の破損と散逸を防ぐため、標本内側面が見えている岩石表面を特殊なワックスで固定し、岩石の反対側からのクリーニングを行いました。現在、アルバロフォサウルス標本の骨が埋まっている白い部分は、その際のワックスであり、標本保護の観点からワックスに埋めたままの状態にしている(上に掲載の標本写真参照)。
 その後の観察、研究により、この標本が新属新種の恐竜化石であることが判明し、新種名を提唱する論文が2009年9月発行の米国古脊椎動物学会誌「Journal of Vertebrate Paleontology」に掲載され、新種の学名“アルバロフォサウルス・ヤマグチオロウム”が国際的に公表されました。


アルバロフォサウルス・ヤマグチオロウム概説>

分類:鳥盤類ケラポッド類【Cerapoda:角脚類(ルビ:かっきゃくるい)】
命名者(論文の著者):大橋智之(東京大学・特任研究員)、ポール・バレット(英ロンドン自然史博物館・研究官)
推定頭骨長:約10センチメートル
推定全長:約1.3メートル前後
食性:植物食
産地:石川県白山市桑島「桑島化石壁」
地層:手取層群桑島層
時代:前期白亜紀(約1億3000万年前)
標本:新種提唱のもととなった化石は、上顎骨、涙骨、頬骨、鼻骨、前頭骨、眼瞼骨、方形骨、前前頭骨、外後頭骨/後耳骨、底蝶形骨、歯骨等の頭部を構成する11点の骨、および歯。白峰化石調査センター所蔵標本(SBEI 176)。


 アルバロフォサウルスの同定できた骨11点は、それぞれの骨の配置、重複している骨がないことから、一個体の頭部の一部であると考えられます。これまでに報告されているどの恐竜とも異なる特徴を持つことから、日本では四例目の新種の恐竜となります。


<新種の特徴>

(1) 上顎骨の外側の面が平たくなっていて、上顎骨上部の傾きがありません。下顎の歯骨の外側面に大きな張り出しがあり、歯列が内側に奥まっています。

(2) 歯は三角形状をしていて、歯冠面には大きな稜があることや歯の切縁に小鈍鋸歯と呼ばれるギザギザがあることなどから、鳥盤類の特徴を持ち、植物食であることがわかります。また、上顎の歯の歯冠面表面には、10〜12本の細かい条線が上下方向に伸びていて、これはアルバロフォサウルスにのみ観察できる特徴になります。


<系統的位置>

 頭部の骨や歯の特徴からアルバロフォサウルスは鳥盤類に属する恐竜になります。
 化石発見当初は、ヒプシロフォドンなどとの類似性から、鳥脚類ではないかと考えられていました。しかし今回の論文の研究では、角竜類の原始的な段階の種だとする結果が得られました。本来、系統的な位置(分類)を検討するための解析は、骨格全身の200個以上の特徴を分析する必要がありますが、部分的な頭骨しか見つかっていないアルバロフォサウルスは、そのうち35個のデータしか得られていません。そのため、角竜という系統解析結果は、暫定的なものであると考えられます。そこで現段階では、鳥盤類の中の鳥脚類と角竜類などが属するケラポッド類(角脚類)としています。

【補足】ケラポッド類は鳥脚類(ヒプシロフォドンやイグアノドン、ハドロサウルス類など)、角竜類(プシッタコサウルス、トリケラトプスなど)などが含まれ、ジュラ紀後期から白亜紀最末期まで、世界中から化石が発見されています。鳥盤類にはケラポッド類の他、剣竜類(ステゴサウルスなど)と鎧竜類(アンキロサウルスなど)の装盾類(ルビ:そうじゅんるい)が含まれます。


<アルバロフォサウルス発見の意義と今後の展望>

 アルバロフォサウルスは、歯や頭骨の形態から鳥脚類との類似性が高いことが、これまでの恐竜と比較した観察から確認されていましたが、系統解析の暫定的な結果からは、原始的な角竜という可能性が示唆されました。このことから、四足歩行の角竜類、二足歩行の鳥脚類といったグループの分岐に関して、頭部(特に吻部)の違いはわずかだったという可能性が出てきました。

 歯のすり減り方から、植物を食べる際に、鳥脚類は水平方向にすり潰し、角竜は垂直方向に切り刻むという方法をとっていたことが知られています。角竜はアジアに起源を持ち、その後アジアと北アメリカで多様化・大型化していったことが知られていることから、アルバロフォサウルスは、鳥脚類と角竜の進化初期の段階における恐竜として、植物の食べ方の分化を探る重要な資料と位置づけられます。今回のアルバロフォサウルスは、多くの種類が存在する恐竜のなかの新たな一新種の発見に過ぎませんが、白亜紀前期のアジアの植物食恐竜は、島大陸であった地理的な特異性、被子植物が進化し始めていたという時代的な特性から、世界的にも大変重要な標本となります。
 今後、アルバロフォサウルスの頭骨の残りの部位や体骨格が発見され、この恐竜の全体像が明らかになると、アルバロフォサウルスの分類が特定されると思われます。それに加えて、アルバロフォサウルスの植物の食べ方を復元することで、垂直様式の角竜、水平様式の鳥脚類の起源や進化の解明にさらに貢献できると考えられます。

 
 
問い合わせ
 
 
白峰化石調査センター(白山恐竜パーク白峰内) 
〒920-2502 石川県白山市桑島4-99-1
TEL:076-259-2724 FAX:076-259-2335
E-mail:
h-kaseki@city.hakusan.lg.jp
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