」」」白山市桑島地内産出のカメ類化石に学名がつきました」」」 |
2011年9月発行予定のE.S.Gaffney博士(アメリカ自然史博物館学芸員)の業績を記念した論文集「Morphology and Evolution of Turtles: Origin and Early Diversification」(カメ類の形態学と進化:起源と初期の多様化)に論文が掲載されKappachelys okurai (カッパケリス オオクライ)の学名がつきます。 |
 | 【学名を担うタイプ標本】
カッパケリス・オオクライの模式標本 SBEI 1728 左第7縁板 (A:左側面観、B:腹面観、C:内面観)
DはSBEI 1729で左第7肋板
* どちらも白山市白峰化石調査センター所蔵標本
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学名:Kappachelys okurai 名前の構成:属名(Kappachelys属)+新種名(okurai)
意味「河童亀」
| 【属名】 | 「Kappa」(カッパ)は日本の伝説などで登場する妖怪の「河童」、「chelys」(ケリス)はギリシャ語で「亀」を意味する。 「Kappachelys」で「 河童亀 」となり、このカメはスッポン類であることがイメージされる。
| | 【種小名】 | 「okura」(オオクラ)は、今回のカメ化石の発見者であり、長年にわたって石川県を含む北陸3県および岐阜県に分布する手取層群の化石調査を進められてきた、大倉正敏氏への敬意を表しての献名、「i」(イ)は「人名に付く接尾辞」。 |
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 | カッパケリス・オオクライの甲羅復元図 図のなかに配置された化石の写真は、発見された甲羅化石のパーツの位置を示している。 |
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<発見からの経緯>
今回新種として確認されたカメ類の化石は、1994年12月に大倉正敏氏(現在、白山市手取層群化石調査団員)が白山市桑島(旧白峰村)の大嵐谷付近の手取層群(手取層群赤岩層、中生代白亜紀前期、約1億3000万年前、化石壁の桑島層より上位にある)を調査中に発見・採集したものになります。 この標本については、平山 廉博士(早稲田大学国際教養学部・教授)によって調査・研究がおこなわれてきました。その結果、スッポン科にきわめて近縁であるが、より祖先的な新属新種のカメ類化石であることが明らかとなり、2011年9月発行予定のE.S.Gaffney博士(アメリカ自然史博物館学芸員)の業績を記念した論文集「Morphology and Evolution of Turtles: Origin and Early Diversification」(カメ類の形態学と進化:起源と初期の多様化)に論文が掲載され、カッパケリス オオクライが国際的に公表されることになります。 |
<新種の特徴>
(1) 甲羅表面に凹凸の著しい独特の彫刻が発達する。 (2) 鱗板を欠く。 (3) 縁板を保持している。 上記の特徴から、スッポン科にきわめて近縁であるが、鱗板を欠いていることや、縁板を保持していることから、より祖先的な新属新種のカメ類化石であることが明らかとなりました。 |
<発見の意義と今後の展望>
手取層群の中で、赤岩層より下位の地層からは、鱗板のある原始的なカメ類しか発見されていませんが、赤岩層より上位の地層からは真性のスッポン科(鱗板や縁板がなくなっている)が確認されています。カッパケリスの発見によって、スッポン科の起源が、少なくとも2千万年ほど古くなることになりました。
これまで、スッポン科の歴史においては、ほぼ完成された現代型のものが約1億1千万年前のアジアに突然登場するとされてきました。カッパケリスは、鱗板がないことや、甲羅表面の彫刻が強いという点ではスッポン科ですが、縁板をまだ持っているという点でより原始的であり、通常のカメ類とスッポン科をつなぐ貴重な化石記録(ミッシング・リンク)となります。
白山市から見つかる化石については、桑島化石壁の資料を中心に研究がなされてきましたが、桑島化石壁以外にも貴重な化石を産出する場所が複数あることがわかっています。今回はその一端が披露されたことになります。現在、白山市では、白山市手取層群化石調査協議会のもと市内手取層群全体を視野にいれた調査を開始しており、市内には手取層群が広く分布することからも、今後新たに、”貴重な化石の発見”へとつながることが期待されます。 |
<スッポン科について>
体全体に鱗がなくて、まるで両生類のような外観をもつ奇妙なカメです。甲羅には鱗板の痕跡がありません。甲羅周縁にあるはずの縁板もなくなり、代わりに軟骨に置き換わっています。他にも、遊泳力に優れること、首が非常に長いこと、噛む力が強いこと、などの特徴があります。 これまで、スッポン科は1億1千万年ほど前のアジア(ウズベキスタンと日本)に、突然出現したとされてきました。カッパケリスは、スッポンの進化を解き明かす貴重な発見となったわけです。 |
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